Yaleで、遊んで学ぶ日々。
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囲碁、ときどきプログラミング、ところにより経済。
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SPの結果、キム・ヨナ1位に浅田真央2位だそうで。スコアはちょっと離れているようですが、せっかくなので5時からテレビ観戦してやろうと思っていたら、開始時間はPST5時だそうで、うち(EST)では8時からでした。日本時間だと朝の10時。
先に終了した男子シングルスでは、プルシェンコがjudgeに文句を言っているそうで、興味を持って色々調べてみたら、先学期授業を取ったJohn Emersonが大分この分野(judgeのいるタイプのスポーツの評価)では有名な人だったらしい。そもそも、9人の審判のうち2人をランダムに除いて、残った7人のつけた点数で結果が決まるそうだ。知らなかった。Jayの引用:
つまり、コンピュータが違う審判を選んでいたらプルシェンコの金メダルもありえるかもしれなかったらしい。選手の視点からするとそれはどうなのだろうか。確かに人による審査にはランダムな部分は必ず残るので、不確実性を審査から取り除くことはできないわけだけど、コンピュータによる乱数というのとは受け止め方が違いそうな気がする。僕はアスリートではないですが。
参考:Emerson, John W. (2007). “Chance, On and Off the Ice.” Chance 20(2).
審判の国籍の問題も噂されている。北米審判がフリーで増えてロシア人のプルシェンコに不利になった、とか。審判の採点は匿名性で、どの審判が誰に何点をつけたかは分からないようになっている。代わりに、9つの得点が名前抜きで公開される。これには歴史的経緯があって、昔票の売買が不正に行われていたのに対する防止措置なのだそうだ。名前を隠すことによって、審判Aに裏金を渡してある選手の得点を甘く(または辛く)つけるように依頼しようとしても、審判Aの得点を後から確認できないので契約が成立しない、ということらしい。
理論的には、票の取引は「難しくなる」が「不可能にはならない」、というのが正解だと思う。審判の行動を直接監視することはできないけど、審判の行動に強く依存する公共情報(9人の得点の分布やその選手の順位など)が存在するので、public monitoringによる協力関係を維持するのは不可能にはならない。
票の売買の防止のために匿名性をしいた結果、今度は国籍バイアスの危険性が高まった。自分の名前が特定されないので、ちょっと自分の贔屓の選手に甘い点をつけたとしても、メディア批判などの恐れが少ない。
参考:Zitzewitz, Eric. 2006. "Nationalistic Bias in Winter Sports Judging and its Lessons for Organizational Decision Making," Journal of Economics and Management Strategy; Zitzewitz, Eric, Does Transparency Really Increase Corruption? Evidence from the 'Reform' of Figure Skating Judging, 2010. http://www.dartmouth.edu/~ericz/
【余談】
さっきPSTとESTの時差を調べようと思って検索していたら、こんなの見つけた。
Q. 17:00:12PST ってどういう意味?
A. 5時0分12秒のことよ。
・・・そんなの分からない人がいることにちょっと驚いた。小学生でも分かることじゃないか(質問者が小学生かもしれないけど)。でも、24時間表示のことを"military time"って呼ぶのは知らなかった。
考えてみると、米国で暮らしているとほとんどの時間は12時間表示で書いてある。イベントの時間が 10a-1pとか、最初はちょっと違和感があった(開始時間の数字が終了時間より大きいというのが)。24時間表示を見るのは、空港とか。
先に終了した男子シングルスでは、プルシェンコがjudgeに文句を言っているそうで、興味を持って色々調べてみたら、先学期授業を取ったJohn Emersonが大分この分野(judgeのいるタイプのスポーツの評価)では有名な人だったらしい。そもそも、9人の審判のうち2人をランダムに除いて、残った7人のつけた点数で結果が決まるそうだ。知らなかった。Jayの引用:
February 19, 2010: Men's Results. Congratulations to Lysacek! And he was a little lucky. The random panel of 7 judges used for the competition liked him. The full panel of 9 judges thought it was a closer competition, a 0.47 point winning margin instead of the official 1.31 point margin. It's likely that some random panel could have awarded Plushenko the gold (other random panels scored him as many as 3-4 points higher when other pairs of judges were dropped).
source: http://www.stat.yale.edu/~jay/skating2010.html
source: http://www.stat.yale.edu/~jay/skating2010.html
つまり、コンピュータが違う審判を選んでいたらプルシェンコの金メダルもありえるかもしれなかったらしい。選手の視点からするとそれはどうなのだろうか。確かに人による審査にはランダムな部分は必ず残るので、不確実性を審査から取り除くことはできないわけだけど、コンピュータによる乱数というのとは受け止め方が違いそうな気がする。僕はアスリートではないですが。
参考:Emerson, John W. (2007). “Chance, On and Off the Ice.” Chance 20(2).
審判の国籍の問題も噂されている。北米審判がフリーで増えてロシア人のプルシェンコに不利になった、とか。審判の採点は匿名性で、どの審判が誰に何点をつけたかは分からないようになっている。代わりに、9つの得点が名前抜きで公開される。これには歴史的経緯があって、昔票の売買が不正に行われていたのに対する防止措置なのだそうだ。名前を隠すことによって、審判Aに裏金を渡してある選手の得点を甘く(または辛く)つけるように依頼しようとしても、審判Aの得点を後から確認できないので契約が成立しない、ということらしい。
理論的には、票の取引は「難しくなる」が「不可能にはならない」、というのが正解だと思う。審判の行動を直接監視することはできないけど、審判の行動に強く依存する公共情報(9人の得点の分布やその選手の順位など)が存在するので、public monitoringによる協力関係を維持するのは不可能にはならない。
票の売買の防止のために匿名性をしいた結果、今度は国籍バイアスの危険性が高まった。自分の名前が特定されないので、ちょっと自分の贔屓の選手に甘い点をつけたとしても、メディア批判などの恐れが少ない。
参考:Zitzewitz, Eric. 2006. "Nationalistic Bias in Winter Sports Judging and its Lessons for Organizational Decision Making," Journal of Economics and Management Strategy; Zitzewitz, Eric, Does Transparency Really Increase Corruption? Evidence from the 'Reform' of Figure Skating Judging, 2010. http://www.dartmouth.edu/~ericz/
【余談】
さっきPSTとESTの時差を調べようと思って検索していたら、こんなの見つけた。
A. 5時0分12秒のことよ。
・・・そんなの分からない人がいることにちょっと驚いた。小学生でも分かることじゃないか(質問者が小学生かもしれないけど)。でも、24時間表示のことを"military time"って呼ぶのは知らなかった。
考えてみると、米国で暮らしているとほとんどの時間は12時間表示で書いてある。イベントの時間が 10a-1pとか、最初はちょっと違和感があった(開始時間の数字が終了時間より大きいというのが)。24時間表示を見るのは、空港とか。
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