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Yaleで、遊んで学ぶ日々。

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囲碁、ときどきプログラミング、ところにより経済。
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詳しい資料が↓のURLに出ていた。昨年末の日付になっているが、おそらくほとんど同じデータを使っていると思う。


 
記事のパンチラインは貧困が深刻化している、ということらしいが、ちょっと考えてみる。

 
そもそも相対的貧困率というのは、可処分所得の中央値の半分未満の比率であるので、本質的に不平等指標だ。同じ人物でも比べる対象が違えば貧困になったりなくなったりする(正確には、可処分所得は世帯所得の個人割合等価という指標(世帯所得÷世帯人数の平方根)で計られる)。例えば、20ー64歳女性の枠では貧困と判定された人が、20代の中では貧困ではないことがありえる。あくまで「相対的に」なのだ。ということは、同程度の所得水準であるべき枠の中で比べなくては意味がない。極論、外資系投資銀行に勤める人51人とフリーター49人で構成されるグループで計れば、おそらく相対的貧困率は49%くらいになるけど、だからって深刻ですねえとはならない。グループの決め方が大事なのだ。


見出しに出ている、「20ー64歳単身女性の貧困率」については、年齢層の幅広さが気になる。つまり、この貧困率は、世代間の所得の差を反映している可能性がある。しかし、20代より40代の方が高所得なのは自然なことで、それ自体は悪いことではない。だって、その20代の人たちはいずれ40代になるわけだから。
 
そういうわけで年齢別の貧困率を見てみると、20ー64歳女性はどの層も15%くらいで推移している。やはり、記事にあった「32%」は、世代間格差を捉えたに過ぎないのだろうか。
20154682.png






















結論を出すのはまだ早い。もう少し考えてみる。上のグラフは、単に年齢別であって単身に限定していない。単身者に特有の問題がある可能性は拭いきれない。しかし、残念ながら。年齢別かつ世帯構成別の貧困率はデータに出ていないから直接は検証できない。ただ、注目すべきことに、「20ー64歳夫婦のみ世帯」の貧困率は約10%と低いのだ。
c4b4160f.png
















むむ、やはりこれは単身者に特有の貧困問題があるのだろうか。一つの可能性は、世帯の種類によって年齢構成比が違う、ということがある。そこで、同じ研究所が公開しているデータを見てみる→リンク。下の表は、世帯の種類別・年齢別で世帯数を比べている。単身者は若年層の割合が相対的に高いから、所得の低い年代が多いと言えるかもしれない。一方、夫婦のみに関しては、50代以降の年齢の高い層が多くて、こちらは所得の高い層が多いかもしれない。眺めてみてもよくわからんなー。
353b33a0.png




























多少経済学者っぽい物言いをすれば...
「キャリアウーマンほど売れ残る」→「40代単身女性は高所得」とか、
「夫婦のみ家庭では、旦那の稼ぎが少ないと共働きにするが、十分大きいと妻が家庭に入る→1人分の可処分所得は年齢を重ねてもあまり増えない」
とか、色々言うことはできて、理由をつけて記事を批判したくなるのだけど、ちょっとデータ不足で何とも言えないかな。単身層に独特の問題がないとも言えないが、あるとも言えない。


ただ、少なくとも若年単身女性の貧困率は、そんなに高くないだろうと想像する。なぜなら、この年齢層の貧困率は大体15%くらいで、その半分以上は単身だからだ。もし単身層の貧困率が高いなら、全体の貧困率も大きくでそうなものだと思うのだが、どうだろうか。



ところで、数字そのものは、昨年12月の時点ですでに出ているのに、今になって「わかった」という記事がでるのはどういうことなんだろう。報道のタイミングを見計らっていたのか、それとも?
 
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