Yaleで、遊んで学ぶ日々。
Yaleで、遊んで学ぶ日々。
囲碁、ときどきプログラミング、ところにより経済。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
もし都合がついたら今年はDCへJessup観戦にいってみよう(今年は京大が日本代表、母校早稲田は何か特別枠で参加するらしい)、ということで問題文を読んでみた。→問題文はこちら
読んでみての感想・・・めちゃめちゃ難しいんじゃないか、これ・・・。すごい複雑。管轄権・主権免除・国家承認・武力行使・国際機構法など、国際法のあらゆる分野が盛り込まれているし、さらに独自につくられた架空の条約の解釈も行わなければいけない。
王道中の王道、重量級の問題だ。このテーマで国際大会に出られる後輩達が羨ましくもある。
事件概要。
The Case concerning the Temple Mai-Tacao
* 事件名に出てくる寺院は、AとRの間に位置する何やら重要な文化遺産で、この帰属を巡って数十年前に戦争があった。結局、この寺院はA側に帰属する、ということで合意し、今に至る。また、その寺院は今では世界遺産に認定されている。
* 実は、その戦争の最中、Aの軍人がRの農民に強制労働を課していた、ということが分かっている。しかし、終戦条約では、戦争中における行為についての国家および私人による訴訟を互いに放棄する旨の条項がある。
* 後にRは、他の数カ国と地域的人権条約(ENC)を結んだ。このグループはのちにENIという経済協力機構を構成し、最近成長中。
* 最近Aの大統領に就任したGreenさんは、ENI寄りの政策を取る。まず、ENCに加盟(acceded)、ただし、ENC人権裁判所の強制管轄権に関する条項だけは、ENI加盟が承認されるまで留保した。
ここまでは、すごく平和。すべてが順調だったのだけど・・・
* 戦争中の強制労働を描いた映画が公開され、社会の関心を集める。
* この強制労働問題について、人権団体がAで訴訟を起こそうとしたところ、終戦条約の放棄条項を理由に棄却された。そこで今度はRで訴訟を起こそうとしたところ、同じ理由で棄却された。
* そこで、その人権団体はENC裁判所に提起する。すると、「第3国との条約を理由にENCの義務を免れない」として、Rに裁判の見直しを要求する結果。これを受けて、Rは国内裁判を再開し、結局人権団体の主張を認める判決を出す。
* このあたりから、Aの国内情勢が怪しくなってくる。Green大統領のENI寄り政策が批判され始める。色々あって、結局クーデターが起こってAndler将校が暫時政府をつくる。GreenさんはRへ亡命し、そこで亡命政府樹立を宣言する。
* Andler政権は、A国内のGreen支持者の集まる村を攻撃し、文民を含む死人が出る。ENIはAndlerの軍事施設を爆撃する。
* Andlerは寺院のあるあたりに潜伏し、「これ以上攻撃すると、この世界遺産を壊すぞ」と脅す。ENIは攻撃を止めなかったので、実際に世界遺産の一部が破壊された。そうしたらENIも攻撃を止めた。
-------------------------------------------------------------------------------
論点
(a) Andler政権は正当な政府であるか、したがって、A国を代表してICJにて争うことができるか。
(b) Rは、Aの軍事施設空爆につき国家責任を負うか。
(c) R国内裁判所による、過去の戦時中の強制労働についての判決は国際法に反するか。
(d) Aによる寺院の破壊は国際法に反するか。
整理
(a) は国家承認の問題か。勉強したことはないからさっぱり分からない。
(b) はNATOによるユーゴ空爆を連想させる。そのあたりがリーディングケースか。また、亡命政府がRにあることで、「同意」があったという主張もありえる。攻撃がENI名義で行われた、という点については、NATOの事例からしても難しいと思う。
(c) まず終戦条約とENCの矛盾が1つのポイント。「後法は前法を廃す」の理屈で言えば、ENCが優先する。一方「特別法は一般法に優先する」の法理でいくと、終戦条約の方が特別法であるので、終戦条約が適用される。また、主権免除の問題もあって、R側は人権侵害に関しては主権免除が適用されない旨を主張するのだろう。
(d) これは・・・どうなんだろう。自国内の世界遺産を破壊した、という事件なので、スタンディングの問題がありそうな気がするが。そこが解決したとして、あとは緊急避難あたりがポイントか。
読んでみての感想・・・めちゃめちゃ難しいんじゃないか、これ・・・。すごい複雑。管轄権・主権免除・国家承認・武力行使・国際機構法など、国際法のあらゆる分野が盛り込まれているし、さらに独自につくられた架空の条約の解釈も行わなければいけない。
王道中の王道、重量級の問題だ。このテーマで国際大会に出られる後輩達が羨ましくもある。
事件概要。
The Case concerning the Temple Mai-Tacao
* 事件名に出てくる寺院は、AとRの間に位置する何やら重要な文化遺産で、この帰属を巡って数十年前に戦争があった。結局、この寺院はA側に帰属する、ということで合意し、今に至る。また、その寺院は今では世界遺産に認定されている。
* 実は、その戦争の最中、Aの軍人がRの農民に強制労働を課していた、ということが分かっている。しかし、終戦条約では、戦争中における行為についての国家および私人による訴訟を互いに放棄する旨の条項がある。
* 後にRは、他の数カ国と地域的人権条約(ENC)を結んだ。このグループはのちにENIという経済協力機構を構成し、最近成長中。
* 最近Aの大統領に就任したGreenさんは、ENI寄りの政策を取る。まず、ENCに加盟(acceded)、ただし、ENC人権裁判所の強制管轄権に関する条項だけは、ENI加盟が承認されるまで留保した。
ここまでは、すごく平和。すべてが順調だったのだけど・・・
* 戦争中の強制労働を描いた映画が公開され、社会の関心を集める。
* この強制労働問題について、人権団体がAで訴訟を起こそうとしたところ、終戦条約の放棄条項を理由に棄却された。そこで今度はRで訴訟を起こそうとしたところ、同じ理由で棄却された。
* そこで、その人権団体はENC裁判所に提起する。すると、「第3国との条約を理由にENCの義務を免れない」として、Rに裁判の見直しを要求する結果。これを受けて、Rは国内裁判を再開し、結局人権団体の主張を認める判決を出す。
* このあたりから、Aの国内情勢が怪しくなってくる。Green大統領のENI寄り政策が批判され始める。色々あって、結局クーデターが起こってAndler将校が暫時政府をつくる。GreenさんはRへ亡命し、そこで亡命政府樹立を宣言する。
* Andler政権は、A国内のGreen支持者の集まる村を攻撃し、文民を含む死人が出る。ENIはAndlerの軍事施設を爆撃する。
* Andlerは寺院のあるあたりに潜伏し、「これ以上攻撃すると、この世界遺産を壊すぞ」と脅す。ENIは攻撃を止めなかったので、実際に世界遺産の一部が破壊された。そうしたらENIも攻撃を止めた。
-------------------------------------------------------------------------------
論点
(a) Andler政権は正当な政府であるか、したがって、A国を代表してICJにて争うことができるか。
(b) Rは、Aの軍事施設空爆につき国家責任を負うか。
(c) R国内裁判所による、過去の戦時中の強制労働についての判決は国際法に反するか。
(d) Aによる寺院の破壊は国際法に反するか。
整理
(a) は国家承認の問題か。勉強したことはないからさっぱり分からない。
(b) はNATOによるユーゴ空爆を連想させる。そのあたりがリーディングケースか。また、亡命政府がRにあることで、「同意」があったという主張もありえる。攻撃がENI名義で行われた、という点については、NATOの事例からしても難しいと思う。
(c) まず終戦条約とENCの矛盾が1つのポイント。「後法は前法を廃す」の理屈で言えば、ENCが優先する。一方「特別法は一般法に優先する」の法理でいくと、終戦条約の方が特別法であるので、終戦条約が適用される。また、主権免除の問題もあって、R側は人権侵害に関しては主権免除が適用されない旨を主張するのだろう。
(d) これは・・・どうなんだろう。自国内の世界遺産を破壊した、という事件なので、スタンディングの問題がありそうな気がするが。そこが解決したとして、あとは緊急避難あたりがポイントか。
PR
食うか食われるか << | HOME | >> Zen, 武宮正樹九段に挑む |
Calender
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
Search in This Blog
Latest Comments
[03/30 川内のばば山田]
[03/30 川内のばば山田]
[08/06 Aterarie]
[07/05 Agazoger]
[07/01 Thomaskina]
Latest Posts
(11/16)
(04/28)
(04/16)
(04/11)
(04/05)
Latest Trackbacks
Category
Access Analysis