Yaleで、遊んで学ぶ日々。
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囲碁、ときどきプログラミング、ところにより経済。
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ニコニコ生放送で、コンピュータ囲碁のZenが武宮正樹九段に挑むという企画が行われた。まずは5子で一局、その後一番手直りでもう一局うつ。企画へのリンク。
1局目(5子)。右下を丸取りされるも、上辺の黒地が大きく黒に10目ほど残った。モンテカルロ法を使ったアルゴリズムで動いているZenは、「弱いから取られた」のではなく、「助けないほうが勝つ確率が高いから助けなかった」ということになる。右辺から下辺にかけて白地が大きく、上辺の模様もまだ削減の余地がありそうで、黒が勝つのは大変に見えたのだが、どうも武宮九段は多少中盤以降緩んだらしい。コンピュータ碁は、局面が単純になる終盤に尻上がりに強さが上がる。結局上手いこと黒が残した結果になった。
5子で10目ならきっと4子なら武宮九段が勝つだろう、というのは勝手読み。Zenは大差勝ちを重視しない。簡単で1目勝つ手と、複雑だけど間違えなければ20目勝つ手があれば、Zenは前者を選ぶ。Zenは常時シミュレーションで何万回も後の手順を打ち切って勝つ確率を計算しているのだが、その中には当然「受け間違って負けた」ケースも出てくる。100%1目残せる手があるなら、95%で20目勝つが5%は負ける手は選ばない。必然的に、局面を単純にしようという戦略になるから、置き碁を勝つにはしぶとい仕組みになっている。
2局目(4子局)。序盤、左上から石が競り合う。手筋の応酬で結局白が上辺で黒の一団を取るも、若干凝り形で取らされた感触もある。開発者はZenに手筋を教えていないらしい。教えられていないけど、シミュレーションで気づくのだそうだ。たぶん、一度発見した筋を蓄積することもしていないと思う。つまり、毎回ゼロからスタートしてその筋に辿り着く。なんともピュアだ。
中央に取り残された白石が下辺に収まるまでに多少右辺が固まり、左上の大寄せに回られて大差。最後は、ヨセを緩めに緩めてそれでも20目残した。
今回の対局では、局面を単純化して勝つという姿と、石がぶつかった時の鋭さの両方を見ることができて、しかもZenの2勝という予想外の結果まで出て、大成功の企画だったと思う。
ただし、王メイエン九段が書いていたが、Zenをはじめモンテカルロ法で動く囲碁プログラムは、囲碁を解いているわけではない。プログラムは、なぜそれが良い手なのかを説明できない。答えは「やってみたらうまくいったから」。変な話、「Zenの嫌がる打ち方」を研究する余地もある。→メイエン事件簿
それから、Zenは勝っている時には局面を単純化する傾向にあるから、リードを守り切るのに長けている。今後置き石が減るにつれて、プロ相手だと序盤にリードを許す展開になると思う。そうすると、今度は単純には勝てないから、勝負手を連発するようになる。リードを守る打ち方から逆転を狙う打ち方になるので、今度は違う筋肉が必要になる。だから、一般的には置き石1つで10目ほどの差と言われているけど、たぶんコンピュータ碁についてはそれよりもう少し大きいのではないか。プロと2子局あたりで一度停滞期に入るのではないかと、勝手に予想しておこう。ちなみに、Zenは現在KGS6dだそうだから、僕から見たら遥か雲の上。アマチュアのトップレベルにはそろそろ到達しそうだ。
多分すでに色々開発者は試していると思うけど、Zen同士を対局させて序盤の定石選択のデータを取ったりすると、星と小目の長短が分かってくるかもしれない。また、現状ほぼ感覚的にしか捉えることができない「厚みの価値」も、だんだんと分かってきているらしい。神の一手はコンピュータが見つける、かも。
1局目(5子)。右下を丸取りされるも、上辺の黒地が大きく黒に10目ほど残った。モンテカルロ法を使ったアルゴリズムで動いているZenは、「弱いから取られた」のではなく、「助けないほうが勝つ確率が高いから助けなかった」ということになる。右辺から下辺にかけて白地が大きく、上辺の模様もまだ削減の余地がありそうで、黒が勝つのは大変に見えたのだが、どうも武宮九段は多少中盤以降緩んだらしい。コンピュータ碁は、局面が単純になる終盤に尻上がりに強さが上がる。結局上手いこと黒が残した結果になった。
5子で10目ならきっと4子なら武宮九段が勝つだろう、というのは勝手読み。Zenは大差勝ちを重視しない。簡単で1目勝つ手と、複雑だけど間違えなければ20目勝つ手があれば、Zenは前者を選ぶ。Zenは常時シミュレーションで何万回も後の手順を打ち切って勝つ確率を計算しているのだが、その中には当然「受け間違って負けた」ケースも出てくる。100%1目残せる手があるなら、95%で20目勝つが5%は負ける手は選ばない。必然的に、局面を単純にしようという戦略になるから、置き碁を勝つにはしぶとい仕組みになっている。
2局目(4子局)。序盤、左上から石が競り合う。手筋の応酬で結局白が上辺で黒の一団を取るも、若干凝り形で取らされた感触もある。開発者はZenに手筋を教えていないらしい。教えられていないけど、シミュレーションで気づくのだそうだ。たぶん、一度発見した筋を蓄積することもしていないと思う。つまり、毎回ゼロからスタートしてその筋に辿り着く。なんともピュアだ。
中央に取り残された白石が下辺に収まるまでに多少右辺が固まり、左上の大寄せに回られて大差。最後は、ヨセを緩めに緩めてそれでも20目残した。
今回の対局では、局面を単純化して勝つという姿と、石がぶつかった時の鋭さの両方を見ることができて、しかもZenの2勝という予想外の結果まで出て、大成功の企画だったと思う。
ただし、王メイエン九段が書いていたが、Zenをはじめモンテカルロ法で動く囲碁プログラムは、囲碁を解いているわけではない。プログラムは、なぜそれが良い手なのかを説明できない。答えは「やってみたらうまくいったから」。変な話、「Zenの嫌がる打ち方」を研究する余地もある。→メイエン事件簿
それから、Zenは勝っている時には局面を単純化する傾向にあるから、リードを守り切るのに長けている。今後置き石が減るにつれて、プロ相手だと序盤にリードを許す展開になると思う。そうすると、今度は単純には勝てないから、勝負手を連発するようになる。リードを守る打ち方から逆転を狙う打ち方になるので、今度は違う筋肉が必要になる。だから、一般的には置き石1つで10目ほどの差と言われているけど、たぶんコンピュータ碁についてはそれよりもう少し大きいのではないか。プロと2子局あたりで一度停滞期に入るのではないかと、勝手に予想しておこう。ちなみに、Zenは現在KGS6dだそうだから、僕から見たら遥か雲の上。アマチュアのトップレベルにはそろそろ到達しそうだ。
多分すでに色々開発者は試していると思うけど、Zen同士を対局させて序盤の定石選択のデータを取ったりすると、星と小目の長短が分かってくるかもしれない。また、現状ほぼ感覚的にしか捉えることができない「厚みの価値」も、だんだんと分かってきているらしい。神の一手はコンピュータが見つける、かも。
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ソフトは強くなっていく
ありがとうございます。
楽しく並べてみました。
いや、クリックしてみました、ですか。
同じ系統の「天頂の碁」を打っていますが、強い!
捨石がうまい。
3年前にはソフトに3子ぐらいおかせて打っていましたが、今は最高レベルから2つ下のレベルで打っています。
楽しく並べてみました。
いや、クリックしてみました、ですか。
同じ系統の「天頂の碁」を打っていますが、強い!
捨石がうまい。
3年前にはソフトに3子ぐらいおかせて打っていましたが、今は最高レベルから2つ下のレベルで打っています。
天頂の囲碁の強さは、日本の段位の3段レベル
天頂の囲碁は3段とその上に「長考」というのがあります。
私は外国に住んでいますが、そこでは2級で打っています。
天頂の囲碁の初段でやると、少し負け越します。
大阪の碁会所で打つと、初段では勝ち越しますので、2段で打ってくれといわれます。
日本の碁会所は、国際的な段位から言うと3つ、4つぐらい甘いのですか
私は外国に住んでいますが、そこでは2級で打っています。
天頂の囲碁の初段でやると、少し負け越します。
大阪の碁会所で打つと、初段では勝ち越しますので、2段で打ってくれといわれます。
日本の碁会所は、国際的な段位から言うと3つ、4つぐらい甘いのですか
無題
国際的な段位というのも難しいですよね。そう頻繁に交流があるわけでもないでしょうし。KGSを基準に比べてみましょう。http://blog.goo.ne.jp/y2kmondai/e/899aaddd936ce2b8185d6f37b17e8f5d やhttp://xn--kcs22i86jp2t.jp/syogo/syogo_rank.html を信じるなら、
KGS=日本棋院+1 =碁会所+2~3
というところです。それから、例えばKGS6dのLukanことLukas Podperaさん(チェコの人)ですが、EurogoTVの大会では5dとされていました。これを鵜呑みにすれば
KGS = 日本棋院+2 = 碁会所+2~3 = ヨーロッパ ー 1
というところでしょうか。
ということは、日本の碁会所とヨーロッパの基準の差は4〜5くらい。外国にもよりますが、「外国で2級、大阪の碁会所で2段」というのはざっくり当てはまっていますね。
KGS=日本棋院+1 =碁会所+2~3
というところです。それから、例えばKGS6dのLukanことLukas Podperaさん(チェコの人)ですが、EurogoTVの大会では5dとされていました。これを鵜呑みにすれば
KGS = 日本棋院+2 = 碁会所+2~3 = ヨーロッパ ー 1
というところでしょうか。
ということは、日本の碁会所とヨーロッパの基準の差は4〜5くらい。外国にもよりますが、「外国で2級、大阪の碁会所で2段」というのはざっくり当てはまっていますね。
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