忍者ブログ
Yaleで、遊んで学ぶ日々。

Yaleで、遊んで学ぶ日々。

囲碁、ときどきプログラミング、ところにより経済。
[169]  [168]  [167]  [166]  [165]  [164]  [163]  [162]  [161]  [160]  [159
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

AKB48得票数分析の最終回。

前々回の記事では、第3回選抜総選挙の得票数と順位の関係について、指数近似のフィットがかなり良いことを示し、前回の記事では得票数が順位の指数関数となるのは、得票数がlog-uniform分布に従う時であることを導いた。


今回はまとめとして、第1回から第3回までのデータを用いて、rank-frequency plot をもう一度よく見直し、議論を一旦締める。
データはこちら。ソースはここ



下図は、2011年のRank-frequency plotを4種類のスケールで描いたもの。lin-linは、両軸をそのままに、log-linはy軸を対数軸、lin-logはx軸を対数軸、log-logは両対数軸である。軸の取り方と得票数の分布の関係をまとめておくと
  • lin-linで直線 ⇔ 一様分布
  • log-linで直線 ⇔ log-uniform分布
  • lin-logで直線 ⇔ 指数分布
  • log-logで直線 ⇔ パレート分布
したがって、4つのグラフのうちどれが直線に近いかによって、得票数分布の形状についての予測ができるというわけだ(ただし左上のlin-linだけはまず有り得ないので近似直線を描いていない)。

この図で比べてみると、やはりlog-lin(左下)の近似が一番良さそうに見える。
2011.png
























ただし、上位2名を除いて描き直してみると、結構難しいところ。これでも若干log-linが良さそうかな、と思う。
2011b.png

























第1,2回ではさらに判断が難しい→2010年のグラフ, 2009年のグラフ。2010年ではlog-linとlin-logでともに綺麗な直線になっており、甲乙つけ難い。2009年では、むしろlog-logとlin-logがデッドヒートだ。総合すると、得票数の分布としてどれが一番有力であるかを視覚的に決めるのは難しい。統計的な検定をすることは理論的には可能だが、サンプルが30ないし40ではその力は限定的だろう。



実際のところ、1つの分布に限定する必要は必ずしもない。状況により、これらの分布の間を行ったり来たりするというのが答えかもしれない。たとえば、所得分布の研究では、高所得層ではパレート分布、中・低所得層では指数分布の当てはまりが良いことが知られている。ということは、何らかの要因でパレート分布に近くなったり指数分布に近くなったりする、というのもありそうな話だ。また、log-uniform分布とパレート分布は数学的には親戚関係にある。というのは、累積密度関数はそれぞれ
    F(x) = a * log(x) + junk
    F(x) = b * x^r + junk
であるので、これを微分して確率密度関数を求めると
    f(x) ∝ x^(-1)
    f(x) ∝ x^(r-1)
になる。つまり、パレート分布のパラメータ r をゼロに近づけていくと、だんだんとlog-uniform分布に近づいていくわけだ。



AKB48のことを調べて何になるかと言われれば全く何にもならないのだが、(AKBに限らず一般に)得票数の分布を真剣に分析した研究は少ないのではないかと思う。経済社会的な要因が政党の得票数にどう影響を与えるか、というのは政治経済学の王道トピックだが、得票数の分布に目を向けた話はあまり聞かない。もしかしたら、計量政治学の最も盛んな米国が二大政党制であるため、候補者数が2人の選挙が多くて分布も何もない、というのが原因かも(?)。他の国、例えば日本では政党数はそこそこあるし、小選挙区でも5人くらいの候補者がいる。知事選や地方議会選挙では数十人になることもある。するとそこには必然的に分布というものが発生するのである。

民主政治の根幹である「投票」について、分布から接近する手はないものか、とアイドルグループの人気投票を眺めながらそんなことを考えているのである。





【追記】
先行研究があった。1週間前の速報段階で全く同じことをやった人→YusukeMaedaさんのブログ。一年前の記事→ネット研

PR
この記事にコメントする
お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
興味深く読ませて頂きました。平衡状態の理想気体分子の分布関数となるボルツマン分布を求める処方は前回の記事の(3)式と同様です(物理では未定乗数Bが(k*T)^(-1)というボルツマン定数に温度をかけたものの逆数になります)。予想された事と実際のデータが上位二人を除く集団では良い一致を見られているのではないでしょうか。Zipf則に関する論文や、選挙の解析をした論文もあるようですが (http://bit.ly/iv7wrw )、まだまだ研究が足りない領域かもしれません。計量経済の目で是非これからも面白い発見をして下さい!
yusukeman 2011/06/13(Mon)11:30:27 編集
無題
コメントありがとうございます。興味深い論文があるのですね。読ませていただこうと思います。物理畑の人と政治経済畑の人とでは物の眺め方が大分違うので非常に参考になります。
km 2011/06/13(Mon)13:30:06 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Calender
09 2017/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
Search in This Blog
Latest Comments
[03/30 川内のばば山田]
[03/30 川内のばば山田]
[08/06 Aterarie]
[07/05 Agazoger]
[07/01 Thomaskina]
Oldest Posts
Latest Trackbacks
フリーエリア

Barcode
Access Analysis
Powerd by NINJAブログ / Designed by SUSH
Copyright © Yaleで、遊んで学ぶ日々。 All Rights Reserved.
忍者ブログ [PR]