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Yaleで、遊んで学ぶ日々。

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囲碁、ときどきプログラミング、ところにより経済。
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気まぐれにDevelopment Lunch Seminarに出席してみた。Developmentでは今randomized experimentが大流行な様子。開発途上国へ行って、何らかのtreatment (職業訓練とか) をランダムに与えてその効果を推定する。何でそんなことをしたいかと言うと、Selection Biasというやつを恐れているからだ。つまり、ランダムに割り振るのでなく志願制にすると、志願した人としなかった人とで特徴が異なっていることが大いに予想されるので、両者の間に観測される差が、本当にプログラムによるものなのか、それとももともと存在する特徴の差によるものなのかが区別できなくなる。例えば、塾に通うことが成績を上げるかどうかを検証したいする。もしも、塾へ通うかどうかが完全にランダムに決められれば(くじ引きで決めるとか)、塾へ通う層と通わない層の特徴の分布は等しくて、したがって両者の唯一の違いは塾に通っているかどうか、という点だ。でも、一般的には塾へ通うかどうかは自発的に決められる。もし、勉強に意欲的な人ほど塾に通いやすい傾向があるとすると、例え塾に通っている層の成績が通っていない層よりも高かったとしても、それはもともと意欲的な人が多いからに過ぎないかもしれない。こういう風に、何らかのパラメータを特定すること (identification) が目的の場合、randomized experimentは有効なアプローチの1つになる。何で開発経済で特に流行っているのかは知らないけど。費用が安くすむからかな。先進国でも実験することはある。この前読んだ政治経済学の論文だと、ある地域の人に対して、隣人の過去の投票経歴を記載した手紙を郵送することで、投票率にどう影響がでるかを検証していた。投票行動をSocial Pressureから説明する理論の実証だ。

個人的にはあんまりrandomized experimentには心惹かれない。どうもチートっぽい気がしてしまうんだ。社会科学っていうのはもっとこう色んなことが相互に影響しながら発生する事象を研究していて、データがどうにも混ぜこぜになってしまっているなかに秩序を見つけ出すところにロマンがあるんじゃないかと思うので、作為的にランダムな状況を作り出して検証をしようっていうのは、理解は出来るけど共感しない。


ここから本題。そういうわけであんまりDevelopment lunceに出席したことはなかったんだけど、今日は昼時に学校にいて、セミナー参加者に振舞われるピザを見つけたので、ピザのために出席することにした。他のセミナーだとサンドウィッチとかの場合が多いので、ピザが食えるのは旨いと思った。そうしたら冒頭で、教授から衝撃のアナウンス。
「これはマジな話なんだが、今日で食事が出るランチセミナーは最後だ。Growth Centerの予算の問題で、食事を提供し続けるともっと大切な、研究の支援に回す予算が足りなくなる。だから、今日は最後のピザを楽しんでくれ」
もう、ぽかーんとしたよ。lunch seminarからランチを抜いてどうするって感じだよ。旨い食事のでるセミナーだから、特に残念だ。Labor Lunchも同じくGrowth Centerの予算から出ているので同じく食事が出なくなるらしいけど、そっちは不味いことで有名なので感慨もない。

これが学生のセミナーへの出席率を検証するために作られた実験に過ぎないことを祈っている。


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